平成25年大相撲初場所 十四日目

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日馬富士が鶴竜を寄り切って、横綱としての初優勝を決めた。九勝六敗だった先場所の汚名を返上。相撲協会からしても、この結果は胸をなで下ろすものだろう。もし今場所も九勝、十勝なら、世間から何を言われるかわからなかっただろうから。

やっぱりクライマックスは昨日、一昨日だったな。三人による優勝争いと星のつぶし合い。星の差二つで十四日目を迎えてしまうと、トップの日馬富士の取組に興味の大部分を持って行かれる。加えて、優勝は日馬富士でほぼ決まりだろう、という雰囲気。今日の相撲は”落ち着いて”見られた。

日馬富士は今日は簡単ではなかった。鶴竜が抵抗を見せた。横綱は今日も低く鋭く当たって鶴竜の体を一瞬起こした。ここまでは昨日までと同じ。しかし鶴竜の右手は横綱にのど輪気味に入っており、続けて左手を顔を張るように繰り出して日馬富士の顔を揺さぶる。上体が起きかける日馬富士。その隙に鶴竜の手がまわしに伸びる。右に動いて取らせまいとする日馬富士。この反応の良さは見事だ。おそらく体は勝手にそう動いているのだろう。いい稽古をたくさんしている証拠。

右に回り込んだが、結局右四つに組み止めた。日馬富士は左上手と右でもまわしを取り、鶴竜は右下手のみ掴んでいる格好。四つ相撲がうまい鶴竜に左は取らせたくない。案の定、鶴竜の左手が取ろうとして伸びてくる。しかし前傾で少し半身の日馬富士の右腰は遠い。届かない。鶴竜は反対側の日馬富士の左上手を切ろうとして体をひねる。でも切れない。横綱の両手でがっちり捕まえられている鶴竜。

困った鶴竜は左を巻き替えにいった(左上手は届かないので左下手を取ろうとして日馬富士の右腕の内側に左手を差し込もうとした)。それを予想していた日馬富士。巻き替えのときに前に出るのは相撲の鉄則。体が一瞬起きてしまうからだ。巻き替えにきたのとほぼ同じ瞬間に(これも反応の良さ)鶴竜のまわしを引きつけて寄って行く日馬富士。土俵際。懸命にこらえる鶴竜。なんとか押し戻した。場内から大きな拍手。

こらえたものの、結局巻き替えに失敗した鶴竜。状況は変わっていない。そこで、もう一度巻き替えにいった。これは強引だったのか、はたまた相手が安心した隙に再度試みる方がよかったのか?もう巻き替えしかなかったのか?私にはわからない。日馬富士に隙はなかった。再び引きつけて寄り。渾身の寄り。見ている側も力が入る。こらえていた鶴竜、とうとう力尽きて土俵を割った。

鶴竜の踏ん張りのおかげで熱戦になった。優勝決定にふさわしい内容。スピード、勝負勘、勝機を逃さぬ執念。これぞ日馬富士だ。

明日の千秋楽結びの一番、横綱対決にも期待が高まる。きっと魅せてくれるはず。優勝が決まっていても、こういうワクワク感を起こさせてくれる、大相撲の醍醐味だ。

日馬富士が全勝優勝で復活したら、かっこいいなあ。