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平成25年大相撲春場所 千秋楽

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荒れた春場所も、終わってみれば白鵬の9回目の全勝優勝。8回の双葉山、大鵬を抜いたとされる。優勝回数24は北の湖に匹敵。白鵬の独壇場だった時期が長く(今もか?)強さは単純に比較できないものの、名横綱であることは間違いなかろう。

横綱対決を心配していた。昨日も横綱らしからぬ負け方で集中力がぷっつり切れたと思われる日馬富士。一方、様々な記録がかかる白鵬。立ち合い後すぐに日馬富士がばったり落ちる光景が目に浮かんでいた。

しかし日馬富士は今できる限りの抵抗はしてくれたと思う。突き刺さるような立ち合いは今日は有効で、自然に左四つに組み合った。日馬富士はまわしを引きつけて土俵際まで寄ったが、白鵬は左からの上手投げでこらえた。解説の北の富士氏は日馬富士が寄るときに外掛けをかけても面白かったと指摘。なるほど。日馬富士が体調万全ならそうしていたかも。

日馬富士は続けて寄り立てたが、白鵬はなんとか我慢し、土俵中央まで戻した。そしてすかさず腰を振って日馬富士の左下手を切った。日馬富士は右上手一本、白鵬は左下手一本で半身の状態。体勢は前傾姿勢の日馬富士が有利。

白鵬は右手で日馬富士の腰をポンと叩いた。これを白鵬はよくやる。まわしを取りにきたかと思った日馬富士の体がピンと動く。それに乗じて白鵬は左からの下手投げ。この合わせ技がうまい。日馬富士は左足一本でケンケンして残した。足首を傷めているのによく残した。

残して体勢が戻る際に日馬富士はまた左下手を取った。そして右を巻き替える。成功して右も下手になればもろ差しだ。しかし成功した瞬間に白鵬にも右を巻き替えられた。これで右四つのがっぷりに変わった。この一連のお互いの動きの素早さ。スローで見ないとわからないほど。

長い膠着状態。お互い何を考えているのか。白鵬は意を決してまわしを引きつけ日馬富士を起こして、右にカニ歩きに近い形で寄って行った。いわゆる「横づり」。白鵬は右の下手を取っているので、右に横づりするのが定跡だ。基本通りの手堅い相撲。土俵に左足が当たって、そこで再び一本足でこらえる日馬富士。足首は大丈夫か。最後は崩れるように落ちて、左足をかばう日馬富士。手に力が入る熱戦だった。汗びっしょりの白鵬は今日も間違えて東に戻りかけるほど、集中していた。15個目の白星は簡単ではなかった。

さすが横綱対決。日馬富士は結局6敗もしてしまい、きっと横綱審議委員会のおっさん連中からは苦言が呈されるだろうが、今日の相撲は評価してあげてほしい。

優勝インタビューで白鵬は、1月に亡くなった大鵬さんへの黙祷を提案し、館内全員で行った。これには驚いたが、その気持ちが嬉しかった。自分が強くなっても先人を敬い尊ぶ心。人間的にもかなわない人だ。

雅山の引退も、覚悟はしていたけれど、大きなニュース。大関にまで上がって、陥落してからも腐ることなく真摯に相撲を取り続けた。引き技は私は好きではないのだが(好きだという人はまずいまい)、雅山のは別格。引く前の押し、駆け引き、引くタイミング、それらが組み合わさった名人芸だった。若手が苦し紛れに引くのとはモノが違う。が、年齢には勝てず、押す力が弱くなって通じなくなった。これからは二子山親方となって、ゆくゆくは部屋を再興するのかな。

問題の大関陣は稀勢の里が10勝、琴奨菊と鶴竜が8勝どまり、琴欧洲は休場で来場所カド番。もうここらに期待しても仕方ない。
豪栄道、栃煌山は10勝で、大関を狙うにはまだ遠い。稽古してひと皮剥けるのはいつの日か。把瑠都は9勝、白鵬キラーとしての存在を期待する。

体調が悪かった安美錦に代わって新小結に上がりそうなのが隠岐の海。跳ね返されるだろうが、1人でも上位陣を倒せるか。前頭上位に上がってくる北太樹にも同じことが言える。

今場所は藤井康生アナのテレビの実況が4回、ラジオが2回もあった。千秋楽の北の富士、舞の海、藤井による場所の振り返りには今日も楽しませてもらった。隠岐の海についての談義は、ここで文字に起こしたいくらいだった。

今回もお付き合いありがとうございました。また、来場所。

平成25年大相撲春場所 九日目

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白鵬は脂が乗ってきた。好調の豊ノ島に左まわしは取れなかったものの、反対側の差し手(豊ノ島から見て左差し。豊ノ島にこれを取られると厄介)は許さず。豊ノ島は右を差して白鵬のかいなを返しかけた(バンザイの体勢)が、横綱は素早く逃れてのど輪攻め(喉を手のひらで押し上げること)。体が反ってしまった豊ノ島。のど輪をタイミング良く外されると、つっかえ棒がなくなった反動でバタンと前に落ちた。

なにしろ白鵬の一連の動作が速い。負ける気配がない。全勝優勝するとその回数が歴代単独トップになる(現在の1位は双葉山、大鵬、白鵬の8回)。狙っているだろう。今場所はチャンスだ。それを目標に定めると、他の力士が一敗であろうと二敗、三敗であろうと関係ない。数字の記録というのは、そういう背中の押し方もしてくれるのだね。

全勝が白鵬。一敗はいなくて、二敗が昨日は10人くらい、うじゃうじゃいた。今日終わってみると、二敗に残ったのは琴奨菊と隠岐の海の2人だけで、うじゃうじゃ軍団が3敗にこぞって落ちた。ま、もう白鵬優勝で決まりだからいいんだけど、なんだかなあ。

うじゃうじゃ軍団に把瑠都もいる。日馬富士に引きずり下ろされた。今日の日馬富士の当たりはそこそこ強く、押し込まれた把瑠都は力任せに前に出た。大雑把さ、健在。押し返された日馬富士は土俵際で体をかわして突き落とすと、把瑠都は昨日に続いて土俵下に飛んだ。まったく、よく飛ぶ人だ。もうちょっと緻密さがあれば、強い横綱になると思うのだがなあ。日馬富士は突き落とす際に左膝を傷めたっぽい。明日からどうなるだろう。

二敗に、素質は十分なのにのんびりしていて伸び悩んでいる、隠岐の海さんがいるではないか!びっくりした。いたんだね!今日も舛ノ山を早めに捕まえたものの抵抗にあって、苦労した末に寄り倒した。肺が小さくて息が上がっている舛ノ山を土俵から心配そうに見つめる隠岐の海。いい青年だ。ひょっとして力士に向いてないんじゃないか?昨日、常幸龍に左四つで勝ったことを質問されて

「自分は右四つの方がいいと思うんだけれど、どうしても左四つになってしまう。ただまあ、のびのびは取れてますかねえ」

(のびのび取れてたら、いいんかい!)

先場所は前頭10枚目という地位で8勝7敗で勝ち越した隠岐の海は

「勝ち越してもあの番付(地位)で8勝ではダメだ、と周りから厳しい声を掛けられた。勝ち越して厳しい声を掛けられたのは初めてで、今場所はもっともっと勝たなければダメだなあという気持ちで土俵に上がっています」

(厳しい声を掛けられたのは初めて??そんなことないよ!あなたが気づいてないだけ!)

ホントにもう、隠岐の海の人柄がよく出ている話で、笑ってしまった。放送席に、いつも彼に厳しい北の富士さんがいたのだが、感想を聞いてほしかったなあ。

いろんな力士がいるでしょ。だから面白い。だから優勝がほぼ決まっていても見てしまう。

平成25年大相撲初場所 八日目

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今日も正午に当日券が売り切れたそうだ。三度目の満員御礼。今場所はあっけなく決まる相撲も少ない。横綱も落ち着いてきたし、やはり相撲内容の充実が客を呼ぶのだと思う。

その横綱陣。今日も二人とも危なげなかった。白鵬は昨日のビデオテープを見ているが如く、魁聖にすぐ右を差して左上手も取った。すかさずの上手投げがきれいに決まって、大きな魁聖は裏返し。横綱相手にまともにいきすぎ。突き放して慌てさせるなどの工夫が欲しい。

日馬富士の相手は臥牙丸。その体型から容易にわかるように、力をまともに受ければ一発で土俵中央から外へ吹っ飛ばされてしまう。反面、巨体を支える足腰に課題がある。左右、前後に動かしさえすれば足がついていかず極めて不安定になる。力を受けずに動かす、これが臥牙丸への攻め方。

横綱は今日も素早く立って、のど輪も交えて臥牙丸の体を起こした。攻めたい臥牙丸の重心は前へ。横綱がタイミング良く左へ動くと臥牙丸は「おっとっと・・・」。向き直った巨漢に再びのど輪で攻めてから、また手を引っ張りながら左に動くと、臥牙丸はつっかえ棒がなくなったかのように自らバッタリ倒れた。完勝。お手本のような相撲。いなした後に横からまわしに手をかけて、出し投げを打ってもよかった。

大関陣は鶴竜を除いて勝利。稀勢の里の相撲が落ち着いてきた。どっしり感が出てきた。松鳳山に押っつけられても慌てず、左で押っつけて右上手を取って捕まえて、左を差し込んで、胸を合わせて、確実に寄り切った(松鳳山の押っつけに威力がなかったこともあるが)。稀勢の里の勝ちパターンはこれだと思うんだけどなあ。これに持ち込めないときに、いかに我慢するか、だ。

把瑠都も連日の思い切った突き放しで、相撲巧者の安美錦に何もさせなかった。把瑠都もこの相撲に徹するべきなのかな。大関昇進を決めた頃も基本は突き放しだった。これができないときに、いかに耐えるか。稀勢の里と同じ。堪え忍んで勝っていけることが、上位安定の条件かもしれない。

大鵬さんに関する、北の富士さんの話が中継の合間に散りばめられていて面白かった。稽古の人だったようだ。巡業中に大関陣をつかまえて1時間半の稽古をしたそうだ。上体の柔らかさ、差し身(下手を取ること)のうまさ、足腰の強さ。大鵬関にはとてもかなわなかったと言っていた。二人の対戦の映像も流されて興味深かったが、もっと他の対戦映像も見たかったな。全盛時に全勝優勝したときの十五日間を連続再生で、とか。あるでしょ、NHKには。

明日から後半戦。大関どうしの対戦も始まる(誰も優勝争いに絡んでないけど)。横綱-関脇戦もある。両横綱による千秋楽決戦に期待が膨らむ。