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平成25年大相撲春場所 十日目

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今日は白鵬と把瑠都の熱戦、これしかない。ビデオを永久保存する価値がある。白鵬の技術と速さには、本当に恐れ入った。勉強になることがたくさん詰まっていた。把瑠都もよく善戦した。

立ち合い後、白鵬はいつものように左前まわし狙い。手がかかったが把瑠都の突きの圧力で取れなかった。再びかけた手も把瑠都の右手によって無理矢理切られた。把瑠都はすかさず両手突き。察知した白鵬はその手を両手で払った(この動きが素晴らしい!)。その勢いでお互いの両手が流れて、自然と右四つの形になった。

白鵬は右下手、左上手。把瑠都は右下手のみ。怪力の把瑠都に上手も与えれば振り回されてしまう。把瑠都が上手をとれるかどうか、これが焦点だ。白鵬は上体をほぼ水平にして把瑠都から腰を遠くして左上手を許さない。一方、白鵬が取っている右下手のまわしは一枚(=何重にも巻いているまわしのいちばん上の一枚のみをつかんでいる。力が伝わりにくい)。白鵬も決していい体勢ではない。

白鵬は腰を振って把瑠都の右下手を切った。この瞬間、把瑠都は左右ともまわしを取れていない。それを避けたい把瑠都はそのタイミングで左上手を取りに行った。腰を振った白鵬の体が起きたため、手が届くようになったからだ(この動きが速かった。把瑠都は予想していたのだろうか?)。

把瑠都に上手を取られては絶対にいけない。白鵬は再び手を届かなくするために、体を右に開いて左からの出し投げを打った(この反応の良さ!)。また左上手を取れなかった把瑠都。しかし逆に、右はまた近くなったので、右下手を再び取った(これもよく取った)。

膠着状態。把瑠都は左手で無双を切り(=白鵬の足を手で払う)にいくが手は届かず。白鵬は腰を数回振って右下手をまた切った。把瑠都はまたすぐ左上手を探る。今度は肩越しだ。白鵬はそれを上体を上に伸ばして防いだ。(なるほど、肩越しの上手は背伸びする格好になると届かなくなるので防げる。勉強になった)。だがその分また右下手が届くようになり、また与えてしまった。この一連の上手・下手の攻防は見ごたえがあった。

把瑠都は我慢できなくなったのだろうか。左上手狙いをやめて巻き替えにいった(今、把瑠都の左側は白鵬の右下手が入っている。その下手より内側に自分の左手を差し込んで左下手を取ろうとすることが「巻き替え」)。巻き替えに成功されると、白鵬は把瑠都にもろ差しになられる。その体勢も非常に不利だ。防がねばならない。それには、手を差し込むすき間がないほど体を密着させればいい。白鵬は体を右に動かし相手を回転させる動作ですき間をなくし、防いだ(この反応も見事!)。

それでも把瑠都は再び巻き替えにいった。白鵬はこれを今度は腰を振って切った。同時に白鵬の右下手も切れた(自分から離したのかな?)。ここで、ちょっとした間が生じた。把瑠都がひと息ついたように見えた。そのとき白鵬の左上手から土俵に打ち付けるように出し投げ。タイミング良く把瑠都の体がきれいに転がった。長い戦いを制してホッとした白鵬は、勘違いして東に戻りかけたほどだ。支度部屋に戻る把瑠都は逆に悔しい顔。把瑠都のこういう顔を見るのは珍しい。

右下手とか左上手とか、ややこしくてすみません。映像で見てもらえればよくわかるのだけどね。いや、映像でもスローで見て初めて気づいたことがたくさんあった。白鵬という力士の身体能力、反射神経の高さにほれぼれした一番だった。把瑠都にも先の先まで読んで準備しておく能力があれば、勝機が十分あった。

白鵬が十連勝。琴奨菊が豊ノ島に十分の体勢になられて三敗に後退。二敗は阿覧を寄り切った隠岐の海だけになった。優勝争いの興味はほぼなくなったが、上記のような一番がある限り、相撲はおもしろい。

平成25年大相撲春場所 五日目

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初日以来の落ち着きだ。今日の横綱・大関陣は5勝1敗。その1敗は琴欧洲。把瑠都に一方的に敗れて4連敗。「落ち着き」と言うのは琴欧洲に失礼か。

鶴竜が高安に手こずったことを除けば、あとの4人は危なげなかった。白鵬の充実ぶりは続いていて、彼にしては珍しい「とったり」という決まり手で栃煌山を退けた。これも反応の良さ。当たりが強くなく右手が中途半端だった栃煌山の腕をとっさに手繰って省エネ勝利。体が自然にそう動くのだろうな。今場所3大関を破っている栃煌山なので熱戦が期待されたが、足も出ていかず勝負は呆気なかった。初日を切り抜けて以来、白鵬に隙は見当たらない。

日馬富士も今日は本来の相撲だった。相手の妙義龍は同じタイプの力士。低く強く速く当たって相手を突き起こす。自分の前傾姿勢は崩れないし、前にも決して落ちない。こういう相撲は魅力だ。日馬富士はこれを徹底しているので、軽量にもかかわらず横綱に昇進できた。体格的に恵まれている妙義龍にも大関・横綱のチャンスは十分にある、と見る。カギはケガとの付き合い方と稽古の継続だ。

同じタイプ、変なことをせずまともに来る、ということで、日馬富士にも迷いがなかった。どちらがより低く強く速く当たれるか、相手を突き起こせるか。実力・経験の差か、開き直りの境地か、日馬富士がまさった。妙義龍の突きに横綱の左足が流れた場面がありハッとはしたものの、素早く背後に回り込んで送り倒した。妙義龍も速い力士なのだが、今日は完敗。

そして琴奨菊が昨日からいい相撲を取っている。攻めが厳しく、休まない。顔つきも違ってきたように見え、序盤の連敗、加えて同部屋の琴欧洲のふがいなさが相当こたえているようだ(そうであってほしい)。稀勢の里も千代大龍に二匹目のドジョウは許さず、引き技に冷静についていった。

しかし、ここらへんの大関陣はその日暮らしだからなあ。誉めた翌日に負けなきゃいいけど。

上位陣以外の話題も。時天空-阿覧は長い相撲になり(時天空は得てして長い)、時天空のまわしが緩んできたので行司が「まわし待った」をかけて一時休戦。その間に行司がまわしを締め直し、休戦中も体勢は維持しておかねばならない。VTRの一時停止みたいに。動いてしまうと有利不利ができるからね。これはルールだ(暗黙なのか明文化済みなのかは不明)。

だが、動いて組み手をほどいてしまった。おそらく阿覧からほどいたのだと思う。阿覧という力士はロシア出身とはいえ幕内にもう4年以上いるにもかかわらず、相撲の細かいルールをまだ把握できていないフシがある(笑)。以前も「水入り」を知らなかった(このときも相手は時天空。水入りとは取組が長くなって両者が疲労してきたことによる中断)。水入りを知らなかったのだから、まわし待ったも知らなかった可能性は十分ある。おもしろい力士。

テレビの実況は一昨日から中一日で藤井アナ。解説は八角親方。いつも気づきとなることを言ってもらえる。今日メモったのは「すくい投げは前に出ながら投げると決まる。下がりながら投げるとケガに繋がる」。勉強になりました。